慢性心不全の患者さんで状態の安定している方が、できるだけ入院が必要な状態にならないように決め細かく診療をしています。
具体的には体内の水分量(循環血漿量)が過剰になった状態(うっ血)をいち早く察知し、早期に必要な治療を行っていきます。早期察知のために最低で2週間に1回の診察と1か月に1回の血液検査および超音波検査を行っています。訪問看護ステーションと協力して我々の診察がない週には看護師に状態観察を依頼し、すこしでもうっ血の状況が疑われれば情報を共有し緊急の往診を行います。患者さん・ご家族には心不全手帳をお渡しし、ご自身たちでうっ血の状況を把握していただきご連絡いただけるような工夫も行っています。
これまでであれば入院が必要である状態でも、心臓の動きを助ける薬(強心薬)の点滴投与や酸素投与をご自宅で実施することも可能ですので、自宅で心不全が急に悪くなった時(急性増悪)の治療も可能です。
また治療に反応しない(治療抵抗性)心不全の終末期の方に対しては、呼吸の苦しさをとるための緩和治療を行い、最期まで自宅で過ごしていただけるような心不全緩和ケアにも力を入れています。
院長はじめ循環器内科専門医が多数在籍しており、うっ血をさせない、早期にうっ血を介助して入院をさせない積極的な心不全治療を実践しています。
また治療抵抗性の心不全終末期の患者様に対して心不全緩和ケア指導者講習会を終了した院長を中心に心不全緩和ケアを実施し、心不全であっても最期まで自宅で過ごしていただけるようにしています。
患者さんへ一言
慢性心不全の状態の方は日本に120万人いらっしゃるといわれています。
高齢社会の進展に伴いその数はさらに増加する見込みであり癌と並んで国民病といってよい疾患と考えられれています。心不全パンデミックという言葉もありこれから多くの方々が心不全を抱え生活をされていく時代です。
きめ細かい診察と素早い治療でできるだけ入院することなく心不全が進行することを予防して、心不全を抱えながらも質の高い生活を続けていけるように一緒に頑張っていきましょう。