


2026年4月12日
新聞も沢も、じっくり味わうのが面白い
~タイパでは測れない新聞の魅力~
講師:中日新聞 一宮総局長 市川 真 氏
春の花曇りの一日、本年度のお出かけサロンを開催いたしました。
当日は17名の地域の皆さまにご参加いただき、会場は開始前から和やかな空気に包まれていました。
今回の講師は、中日新聞一宮総局長の市川さん。堅いお話かと思いきや、いきなりユニークな動画からスタートです。
なんと、AIで作られた猿が新聞配達をしながらしゃべるという映像に、会場は一気に笑いと驚きに包まれ、
時間前にもかかわらず講演が始まるという、楽しい幕開けとなりました。
前半は、新聞業界の現状についてのお話でした。新聞は「タイムパフォーマンスが悪い」と言われることもあるそうです。
記事ができるまでには、取材・確認・執筆と多くの時間がかかります。
しかしその分、じっくりと読むことで記憶に残りやすく、深い理解につながるというお話には、多くの方がうなずいておられました。
また、新聞には「社会の木鐸(ぼくたく)」としての役割があり、不正や問題に警鐘を鳴らす存在であることも紹介されました。
行政や政治を見守る“地域の目”としての重要性は、今も変わらないという力強い言葉が印象的でした。
さらに、SNS全盛期のアメリカでは、地方新聞の衰退により「ニュース砂漠」と呼ばれる地域が生まれている現状も紹介されました。
信頼できる情報源がなくなることで、誤情報が広がりやすくなり、地域社会の分断や投票率の低下といった問題が起きているとのことです。
身近な新聞がなくなることが、実は社会全体に大きな影響を及ぼすというお話は、多くの気づきを与えてくれました。
後半は一転して、市川さんの趣味である紀伊半島での沢登りのお話へ。
これがまた想像以上にダイナミックで、「趣味」というより“冒険”の世界。
クマとの遭遇やヒル、マダニ、さらには蛇まで登場し、「えっ、それ大丈夫ですか?」と会場から思わず声が上がる場面もありました。
それでもご本人は飄々(ひょうひょう)と語られ、そのギャップに二度びっくり。
急流をさかのぼり、滝つぼを泳いで進む様子は、まさにサバイバルそのものです。
特に印象的だったのは、滝の動画です。テレビで見る映像とは比べものにならない迫力に、会場からは思わず歓声が上がりました。
「うわぁ!」「すごい!」と、皆さんの表情が一斉に輝いた瞬間でした。
市川さんが実際に水の中に入りながら撮影している様子を思い浮かべると、その臨場感の理由にも納得です。
「見えないところにこそ力がある」のだと感じました。
質疑応答も活発で、「批判は世の中を良くする力。少数派の声を届けるのもマスコミの使命」とのお話が心に残りました。
対立は決して悪いことではなく、健全な議論が新しい価値を生む—そんな前向きなメッセージを受け取りました。
また、市川さんが語られた沢の中の印象的な一場面として、アオダイショウがじっと動かず、
近づいてきたトカゲに体の寄生虫を食べさせるという、自然界の共存の姿が紹介されました。
敵にもなりうる存在同士が、互いの役割を受け入れて生きている。その話を聞きながら、
新聞もまた、社会の中で異なる意見をつなぎ、バランスを保つ存在なのだと感じました。
新聞と社会、人と人、そして自然界の生き物たち。どれも一方だけでは成り立たず、支え合いながら続いていくもの。
そう考えると、新聞を読む時間は決して“非効率”ではなく、むしろ社会とつながる大切な時間なのかもしれません。
さて、最後に私が聞きそびれた大事な質問があります。
「なぜドラゴンズは弱いのか?」—こればかりは、どうやらもう少し“深い谷”を登らないと、昇り竜にはなれないようですね。

