


2026年4月12日
Healthcare Performer Interviews
■介護初任者研修において初めて講師を務めた2名に対談を実施した。
両名はそれぞれ異なる事業所に所属しながら、ネパール人受講生を対象に講義を担当。
さらに受講生は現在、各講師の職場へ配属されており、「教える側」と「共に働く側」の両面から貴重な経験を重ねている、本音で心の内を語った。
野口:今回の講義を通して最も強く感じたのは、“どう伝えれば理解してもらえるのか”を真剣に考えるきっかけになったことです。
初日は余裕がなく、全体を見ることもできませんでした。
鈴木:私も同じです。受講生がネパールの方々ということもあり、日本語の理解度に不安がありました。
ただ、通訳の方の協力は非常に大きく、授業を進めるうえで大きな支えになりました。私は3日間を担当しました。
野口:テキスト通りに進めると、どうしても理解が追いつかない受講生が多く、2日目からは“理解重視”に切り替えました。
結果として進度は落ち、重要なポイントに絞る形になりましたが、その方が明らかに反応は良かったです。
鈴木:私は実技中心だったので、動きを通じて理解してもらえている実感がありました。
初日は硬かった雰囲気も、3日目にはかなり和らぎ、質問も自然と出るようになりました。
日常会話などのコミュニケーションを重ねたことで、講師と受講生の間の心理的な距離が縮まり、
発言しやすい環境が生まれたのだと思います。
野口:それは大きいですね。私も“学校型”の一斉指導から、“塾型”の個別対応に切り替えたところ、
受講生同士で教え合う姿が見られるようになりました。結果的に理解度も高まった印象です。
ただ、補足資料を作りすぎて情報過多になってしまった反省もあります。
次回はテキストを要約した資料を用い、詳細はテキストを参照してもらう形にしたいと考えています
鈴木:現場に近い説明も意識しました。テキストは単一の症例を前提にしていますが、
実際の利用者は複数の疾患を抱えています。だからこそ、
“利用者ファーストでケース・バイ・ケース”という視点を重視して伝えました。
野口:今回の経験を通して、教えることは自分自身の学びでもあると強く感じました。
脳の仕組みまで調べながら、どうすれば分かりやすく伝えられるかを考え続けました。
自分の説明が単なる“聞き流される言葉”にならないよう意識しました。
鈴木:これまでスタッフへの指導は実技中心でしたが、“なぜそうするのか”を言語化する力が身についたと感じます。
受講生から学ばせてもらうことも多くありました
野口:現場では、講義内容と実際のケアの違いに戸惑う受講生の姿を見ることがあります。
そのギャップに苦しむ様子を見ると胸が痛みます。ただ、理想と現実の差は避けられません。
だからこそカンファレンスなどを通じて、共に考える姿勢が大切だと思っています。
講師と受講生という関係を越え、互いに学び合うパートナーとして関わっていきたいです。
鈴木:研修はゴールではなくスタートです。実際に配属された受講生の中には、非常に成長の早い方もいます。
常にメモを取り、休憩中も見返している姿が印象的でした。素直に学ぶ姿勢が成長につながるのだと実感しています。
職場でも、そうした学びやすい雰囲気づくりを大切にしていきたいです。
今回の対談から見えてきたのは、「教える」という行為が一方向の知識伝達ではなく、
相互作用によって成立する営みであるという点である。
受講生の理解度や反応に応じて講義の形を変え、共に考え、共に悩む姿勢は、まさに実践の中で構築される学びと言えるだろう。
また、講師自身が試行錯誤を重ねた経験は、単なる技術指導を超え、「人を育てる」とは何かを問い直す機会となっている。
介護の現場に唯一の正解はない。だからこそ、多様な価値観の中で「よりよいケアとは何か」を共に模索し続ける力が求められる。
その起点として、今回の講師経験は大きな意味を持つものであった。
さらに、講師としての役割は研修で終わるものではなく、その後の現場においてこそ真価が問われる。
受講生が感じる違和感や葛藤を、より良いケアへと昇華させる伴走者であり続けることが期待される。
初めて講師を務めた2名の挑戦は、まだ始まったばかりである。
その苦悩と試行錯誤こそが、次世代の人材育成の礎となる。今後のさらなる成長と活躍に、心からエールを送りたい。
法人内で活躍する「きらりと輝く人」にインタビューを行い、その魅力や想いを紹介していく、医療法人翔樹会のオリジナルコンテンツです。

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