


食と健康を考えるサロン
2025/12/12 (金)
昨日までの穏やかな陽気から一転、「おお、さぶ!」と思わず声が出るほどの強風の中、
日本ミツバチをテーマにした講演会が開催されました。
そんな天候とは裏腹に、会場には終始あたたかな空気に包まれていました。
講師の肥田さんが養蜂を始めたきっかけは、今から18年前。環境問題への強い関心からでした。
当時、日本ミツバチの養蜂は珍しく、長野県の開田高原など限られた地域でしか行われていませんでした。
収穫量が少なく、飼育も難しい日本ミツバチ。そのうえ、採蜜の際にミツバチが殺処分される現状を目の当たりにし、
「命を活かす方法はないか」と仲間とともに模索し、採蜜を請け負ったことが、今の活動の原点だそうです。
最盛期には33群あった巣箱が、今では1群だけになってしまった背景には、ネオニコチノイド系農薬の影響も考えられるとのこと。
水に溶けた農薬を飲んだミツバチが巣に戻れなくなり、群れが崩壊してしまう――そんな話に、参加者は皆、深く考えさせられました。
「自然に関心を持ち、自然と向き合ってほしい」。講演を続けているのは、環境への警戒の声を少しでも上げ続けたいから。
そして、自分が納得できる生き方をしたいからだと語られました。
年齢を重ね、体が思うように動かなくなった今は、養蜂のノウハウを次世代へ伝えることに力を注いでいるそうです。
肥田さん自身も健康のため、日頃からスプーン一杯のハチミツを食べているとのこと。
そのおかげもあってか、大きな病気をすることなく、今も元気に野良作業に励むことができており、免疫力の向上にもつながっているように感じていると話されました。
講演の締めくくりには、肥田さんから提供いただいた貴重な日本ミツバチのハチミツが、参加者一人ひとりにティースプーン一杯ずつ振る舞われました。
そしてその後、大病を経験されている方へ、一本まるごとのハチミツが手渡されました。
実はこの方、今から6年前、肥田さんの養蜂場を見学に訪れ、日本ミツバチと出会っていた方です。
熱を加えず、何も足さず、ただ丁寧に濾過しただけの純度100%のハチミツ。
今回、その「奇跡のハチミツ」を瓶ごと受け取ることができた、まさに唯一無二の存在でした。
ふと考えると、この日のために、6年前すでに養蜂場でミツバチたちと顔を合わせていたのかもしれません。
未来に起こる出来事が、過去へと静かに糸を伸ばし、時間をさかのぼって準備をしていた――そんなふうに思えてならない瞬間でした。

